横浜の税理士、上大岡の税理士、江口達郎のブログです。今回は、個人が事業を開業した際に税務署に提出すべき、届出書・申請書についてです。

私も10月1日を開業の日として、各書類を先月末に税務署に提出してきました。

todokede 151105

 

まずは、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。

こちらの届出書は、開業後1月以内に住所地を統括している税務署に提出しなければなりません。この届出書については、事業を行う際には必ず提出しなければならないものです。また、個人事業の規模が大きくなり店舗を新設・増設する場合や、移転や廃止する場合にも1月以内に提出しなければなりません。

 

次に、「所得税の青色申告承認申請書」です。

不動産所得・事業所得又は山林所得の業務を行う人については、「所得税の青色申告承認申請書」の提出をすると10万円の控除、または、事業を営む場合で複式簿記にてきちんと記録している場合(他にも細かい要件があります。)には、65万円の控除を受けることができます。こちらの申請書については、業務を新たに開始した日から2月以内(1月1日~1月16日が業務開始日の場合は3月15日)が提出期限です。

 

従業員を雇用した場合には、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出します。

こちらは、従業員を雇用してから1月以内が提出期限です。個人事業でよくあるのが、親などの親族に手伝ってもらって給料として支払うパターンです。給料として支払う場合にはこの届出書と別に、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければ、必要経費として認められませんので、注意してください。

 

雇用した場合には、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も併せての提出をお勧めします。

例えば10月1日~31日までに支払った給与に対する源泉所得税は、翌月10日までである11月10日までに「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」に給与の総支給額や人員・源泉所得税額を明記のうえ、税額がある場合には納付し、ない場合でも税務署に毎月提出しなければいけません。しかし、この申請書を提出すると、1月~6月末分を7月10日までに、7月~12月末分を翌年1月20日までに納付、つまり年に2回だけまとめて納付すればよいことになります。ただし、従業員数が10人未満の場合のみこの適用が受けることができます。

 

最後に、「青色事業専従者給与に関する届出書」です。

日本は一人一人に課税する個人単位課税を採用していますが、現在の所得税法では、親族間における対価の授受は例外として世帯単位課税としています。ここでいう親族というのは、同じ屋根の下に暮らしている人のことをいいます。同じ家に住んでいる人は財布が同じで、その中での行き来は経費として認めないですよ、ということです。そのような親族でも、きちんと働いていて給与として支払うにはこの届出書が必要となります。こちらの届出書については、事業を開始した日から2月以内(1月1日~1月16日が業務開始日の場合は3月15日)が提出期限です。事業の途中から雇う場合は、雇用から2月以内となります。給与の額の変更の届出は遅滞なく提出となります。この場合に該当するのが、親族の2人目を雇った場合や、昇給の場合等です。変更時に届出書を提出することを失念したりすることが多いようなので、注意してください。

 

この他にも、開業年に多額の固定資産を購入した場合に消費税の還付を受けるには「消費税課税事業者選択届出書」を提出したり、車両等の固定資産を定額法ではなく、定率法で行いたい場合には「減価償却資産の償却方法の届出書」を、棚卸資産を低価法で評価したい場合には「所得税の棚卸資産の評価方法の届出書」提出するなど、他にも様々ありますので、詳しくはご相談ください。