横浜の税理士、上大岡の税理士、江口達郎のブログです。今回は事業年度の変更についてです。

事業年度を変更する場合は、「定款」に記載されている「事業年度」を変更しなければなりません。

株主総会の特別決議により可決された場合に定款の変更が可能となります。この場合は、通常の定時株主総会ではなく臨時株主総会での決議事項となります。特別決議が可決されるには、株式会社の場合は議決権を有する株主の半数以上が出席し3分の2以上の賛成が、有限会社の場合には議決権の4分の3以上の賛成が必要となります。

登記簿謄本には、本店の住所や資本金の額や役員に関する事項が記載されていますが、事業年度については記載されていないので、変更登記の必要はありません。なので法務局への届出の必要はないので、再登記の費用はかかりません。

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臨時株主総会で可決されたら、この議事録に代表印や出席取締役の捺印を行い、「臨時株主総会議事録」を作成します。

 

ここで注意したいのが、事業年度は1年を超えて設定ができないということです。例えば4月1日が期首で3月31日が期末の事業年度を4月1日から1年以内である、12月31日(9ヶ月)や2月28日(11ヶ月)に期末を設定できますが、翌年の4月30日(13ヶ月)や7月31日(16ヶ月)のには設定はできません。事業年度はあくまで1年(12ヶ月)以内です。

臨時株主総会で可決され議事録をも作成したら、議事録のコピーを添付して、所轄税務署、県税事務所、市役所に「異動届出書」を提出します。異動届出書の下部に「事業年度を変更した場合」という記載欄があるので、そこで議事録に記した事業年度を記載します。

届出期限は速やかにということですが、例えば7月25日に臨時株主総会で7月31日を期末とする旨を可決した場合、法人申告書の提出期限は9月30日になるので、その期限までには提出することになります。

 

事業年度を変更することにより、親会社と決算期を合わせたり、繁忙期と決算期が重複することを避けたり、残り四半期で自社ビルの売却益や大きな商談がまとまり、急に巨額の利益が発生することが予測される場合には、事業年度を変更し、1年かけてじっくりと節税対策を行うことができます。

 

変更後の注意点は、事業年度が1年未満になると年換算して各税務申告を計算しなければならなくなります。これは、消費税の各種判定や減価償却費の法定償却限度額、赤字でも必ず負担となる県税と市民税の均等割についても月数按分が適用されます。

各種計算には見落としがちな点や複雑な点もございます。また「臨時株主総会議事録」のひな型も当事務所は完備しておりますので、詳しくはご相談ください。