横浜の税理士、上大岡の税理士、江口達郎のブログです。今回は消費税の中間申告についてです。

消費税の概要については、前回の記事をご覧ください。

中間申告書の提出が必要な事業者は、前年(前期)の確定消費税額(地方消費税額を除く)が48万円を超える場合です。つまり前年の決算時に計算した地方消費税額を除く消費税額が48万円を超えた場合に、申告が必要となります。

また、その消費税額が増えるにつれて、中間申告書の提出回数も変わってきます。

直前の課税期間の確定消費税額 48万円以下 48万円超~
400万円以下
400万円超~
4,800万円以下
4,800万円超
中間申告の回数 原則、中間申告不要
ただし、任意の中間申告制度あり
年1回 年3回 年11回
中間申告提出・納付期限 各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内 (図1のとおり)
中間納付税額 直前の課税期間
の確定消費税額の6/12
直前の課税期間
の確定消費税額の3/12
直前の課税期間
の確定消費税額の1/12
1年の合計申告回数 確定申告1回 確定申告1回
中間申告1回
確定申告1回
中間申告3回
確定申告 1回
中間申告11回

国税庁ホームページより

上記の表は、「前年(前課税期間)の実績による中間申告」という方法で中間申告書を提出、納付する場合です。この場合、税務署から中間納付税額が記載された納付書が送付されてきます。

この方法以外に、「仮決算に基づく中間申告」という方法で、上記の各期間を基準の課税期間として仮決算を行い、中間申告書を作成して納付する方法もあります。

消費税額が48万円を超えると強制的に、中間申告書を提出して納付をしなければなりません。逆にいうと、48万円未満であれば納付は今までできませんでした。しかし、平成26年4月から「任意の中間申告制度」が創設され、届出書を提出すれば、自主的に中間申告書を作成して納付することができるようになりました。これは消費税率が引き上げられたことによる、税負担を分散するためにできたようです。

もし、電子申告で提出している場合には、国税庁からメッセージボックスに中間申告についてのお知らせが来るので、これで「前年実績による中間申告」による中間納付税額等を確認するのも一つの手だと思います。

 

中間申告書を提出すべき事業者がもし、提出期限までに中間申告書を税務署に提出しなかった場合には、その提出期限に「前年(前課税期間)の実績による中間申告」の提出があったとみなしてくれます。これは消費税法の第4章申告、納付、還付等の第44条(中間申告書の提出がない場合の特例)の規定によるもので、実務では税務署から送られてきた納付書で納付して、申告書はこの特例の適用を受けて提出しないというのが一般的です。「前年(前課税期間)の実績による中間申告」の提出があったとする特例なので、「仮決算に基づく中間申告」を行う場合には、きちんと提出期限内に提出する必要があります。

 

気を付けなければならないのが、納税が納期限に遅れると、納期限の翌日から納付の日までの延滞税も併せて納付することになってしまうので、確定申告と同様に必ず納期限までに納付するようにしましょう。

最後に注意していただきたいのが、事業年度が1年に満たない場合や、新規に事業を始めた年の翌年の場合などは、これには当てはまらず、他の計算方法によって基準となる確定消費税額を計算となるので、詳しくはご相談ください。