横浜の税理士、上大岡の税理士、江口達郎のブログです。今回は中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)についてです。
以前に「小規模企業共済について。」の記事を書いたのですが、それとリンクするようなものになります。独立行政法人 中小企業基盤整備機構が行っている共済制度で、経営者への退職金としてのものが小規模企業共済、連載倒産からの防衛のためのものが中小企業倒産防止共済制度(以下、経営セーフティ共済と書きます。)です。
経営セーフティ共済は、取引先の倒産時に連鎖倒産のリスクを回避するために、必要な資金を迅速に無担保無利子で、掛金の10倍の範囲内で借入をすることができます。
加入条件は中小企業者で、引き続き1年以上事業を行っている方であれば、法人ではなく個人事業者の方も加入できます。個人事業者の場合は、事業所得以外の収入(不動産所得等)の場合は必要経費とはなりません。事業所得のみ必要経費になるということです。個人事業者は2年目以降から、法人の場合は最短だと法人成りの場合で過去に1年以上個人事業を行っていれば、設立後すぐに加入することができます。基本的には2期目からです。資本金の額や従業員数の要件がありますが、小規模企業共済よりも加入要件は緩いです。
掛金は月額5,000円~20万円までの範囲内であれば、5,000円単位で自由に選択できます。掛け金の支払い方法は、毎月もしくは一定の手続きを行うことにより、積立限度額である800万円まで一括納付(前納)できます。前納すると掛金月額の5/1000が利息相当額として減額されます。基本的には月払いで、前納期間が終わると自動的に月払いに戻ります。前納したい場合には再び手続きが必要です。
掛け金を納付する月は前納期間に含まれません。掛金月額を10万円とした場合は最大79ヶ月分まで、20万円とした場合は最大39ヶ月分まで前納できます。掛け金の前納期間が1年を超えた場合に必要経費に算入できる金額は、当期事業年度に応当月が到来する分の掛金となります。つまり、その期に経過した月数分が必要経費に算入できるということです。
掛金ですが、小規模企業共済は自由に増額や減額ができるようになったのですが、経営セーフティ共済は増額は自由にできますが、減額には一定の要件(事業経営の著しい悪化や事業規模縮小など決められた理由に該当しないと認められない)が必要となるので、目先の節税対策で大きな金額の掛金を設定することのないよう注意が必要です。
取引先事業者が倒産して売掛金債権等が回収困難となった場合に貸付が受けられます。法的手続きが行われた場合に適用されるので、夜逃げの場合は受けることができません。共済金の貸付を受けた場合、共済貸付額の1/10に相当する掛け金が消滅します。申請時までに300万円掛けていたら3,000万円の貸付は受けれますが、無担保無利子の代わりにこの掛金が保証料のようなカタチで償却されます。償還期間は貸付額により自動的に決定されます。
任意解約の際は掛金納付月数が40ヶ月以上になると、100%の返戻率となります。最大800万円を保持することができるので、役員の退職金を出す時の資金の一部に充てたり、固定資産を買う際に資金の一部に充てることなどにも使えます。支払の際は必要経費として処理するので、受け取る時は利益となります。また、貸付期間が1年固定ですが一時貸付もできるので、用途に応じて使い分けることもできます。
経営セーフティ共済は、資本金の額や従業員数の加入要件を満たしていても、該当事由により加入できない場合などがあります。契約の日から6カ月以上経過していないと貸付が受けられなかったりと、メリットだけでなくデメリットもありますので、詳しくはご相談ください。